上黒川花祭り2017(その6)

奥三河の隠れ里で700年以上にわたって受け継がれてきた「花祭り」。
時間は4時半をまわり、上黒川の花祭りも残すところあと5時間半。

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「山見鬼」「榊鬼」「朝鬼」という三つの役鬼のうち最も重要とされる「榊鬼」の出番です。
「山見鬼」の時と同じく、まずは子分的な「伴鬼」から出てきます。鬼様がでてくると舞庭が独得の雰囲気に包まれます。

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そして親分登場!「榊鬼」様キタ~~!!こりゃまたすごい迫力だ!!!

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面のデザインからもがっつりと伝わる迫力!!!かっこよすぎるぜ!!いったいどれほど昔に、どのような方がデザイン制作されたのでしょうか。
昔話があって本物の鬼様が御面になってしまって伝わっているとか、鬼様がくださった御面とかそんな話が残っていても信じてしまいそうな出来です。

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「榊鬼」は、反閇(へんばい)という独特の足踏みで、大地に新しい生命力や活力を吹き込み、自然の恵みや、五穀豊穣をもたらす鬼とのこと。

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「山見鬼」の時と同じく、親分が休憩中は伴鬼たちがぞんぶんに舞います。

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こちらは「一番子」でしょうか。一番子はいずれ親分鬼を受け継ぐ者がされるのだとか。花宿に来てお話しさせていただいた年配の方は「俺は20年間鬼をやった。こんな人はいないと思うよ」と誇らしげでした。

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「榊鬼」の大切な見せ場として、人と問答、榊の引き合いをします。その双方「知恵比べ」「力比べ」に負けた鬼は、人に土地を譲り渡す約束をし、辺べ、釜割、たい割、片手舞、両手舞、五方立等を舞い、祝福して退散するとのこと。

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人間すげ~な!自分だったらこんなの目の前に出てきたら、問答するどころか悶絶して気失っちゃうよ。

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終盤になると鉞を持ち替え、燃え盛る薪をバチコーンと打ちはたいたりもします。

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他の地区では燃え盛る薪の中に鉞を突っ込んで炎を巻き上げるところなどもあるようです。炎の力、鬼様の力で邪鬼を退散させたり、活力を与えたり…というような意味あいがあるのかな。

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「榊鬼」すごい迫力でした!!

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「榊鬼」が帰ったあと、伴鬼が最後の力を振り絞って舞いおさめます。一番子さん?こちらの鬼さんの最後、動きも大きくて勢い、力があってすごくよかったなぁ!

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「榊鬼」が体からお帰りになり、人間に戻る。本当に大変なようです。鬼の面には視界がほとんどなく、ほぼ周囲が見えない暗闇のような中、太鼓、笛、セイト衆の囃子に合わせて限界まで激しい舞を踊ることで体に神が宿るのだと思います。

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大迫力の「榊鬼」の余韻漂う舞庭につづいて降臨したのは、あるいみ「榊鬼」以上の破壊力を持つ「摺子木(すりこぎ)」&「杓子(しゃもじ)」のコンビ。「花祭り」の中でも異彩を放つコンビです。

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やることは単純明快かつなんともおそろしい、顔に味噌を塗っていくという荒業。特にしゃもじは面積がでかく、べっとりといっちゃいます。

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問答無用に舞庭にいるありとあらゆる人の顔に味噌を塗っていく。しかも避けることができない「塗られると縁起がよい」という免罪符つき。

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わー!こっち来たー!!!ちょっとうれしい不思議(笑)しゃもじと、すりこぎの二人に左右それぞれべっとり塗っていただきました。時間は5時半。深夜で疲れ切ってきていて、もうどうにでもなれ!という疲れと快楽が入り時混じった不思議な感情。
さらにこの味噌がすごくおいしいのです。晩ごはんを食べておらず空腹なお腹を喰いつなぐ。「僕の顔をお食べ」という子どもたちのヒーローになった気分です。

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「あっちの子がまだいけるぞ」と指さす。人間性が現れる場でもあります(笑)

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容赦がない(笑)でもみんなめっちゃ笑顔になるのです。そしてこの子、「宝の舞」「伴鬼」とやってた子?違う?もしそうだったら、この楽しみっぷり最高ですし祭りに欠かせない存在です。

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舞庭にいるほぼ全ての人の顔がおいしいことになった頃、腰のひくい不思議な人物が出てきました。婆(ばばあ)です。

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そして可憐にしゃなりしゃなりと歩く「巫女」が登場します。「巫女」は扇と鈴を持って、御礼ぶんごうり、生まれ所を延べ、釜の廻りを舞って歩くとのこと。よくわかりません(笑)

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わかるのは、すりこぎ、しゃもじ達が現代の男性ともれなく同じで「巫女」さんが好きらしく、ちょっかいを出そうとすること。それをババアが鉄壁の防御で守る!

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と言いたいところなのですが、一対二の勝負。ババアはけっこう守りきれずに、すりこぎたちが巫女に接近するのですが、そこはすりこぎたちがいい若者なのか、愚かなのか(笑)ババアが気づくように巫女の側で「ほれほれ!ちょっかい出しちゃうよ~」と鈴を鳴らします。あわててババアが飛んできます。

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10分ほど攻防を繰り広げたあと、無事巫女を守り切った?ババア、すりこぎ、しゃもじたちも引き上げていきます。

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帰り際にもお仕事を忘れない勤勉さ。

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続いて「火の禰宜」「翁」といった面を被った「演能」の次第が執り行われるのですが、ここで逝ってしまった自分です(^^;)
時間は朝6時。花宿に到着してからカメラ離さず17時間。椅子に座ったらそのまま夢の世界へ。笛や鈴の音が心地よい子守歌がわりです。

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時より目の前で気配がして、目を覚ましてカメラを向けるも、後ずさりして逃げるように下がっていく禰宜さん。「ああ…」とまた夢の中へ落ちていく自分。

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気が付くと白い顔の禰宜さんが、黒い顔の「翁」に変わっていました。一時間ほど寝ていたのかな…という気持ちでしたが、実際は20分ほどでした。

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つづいて「四ツ舞・扇の手」が舞われます。はじめは上衣を持って舞い、途中上衣を来て鈴と扇を手に舞います。

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「花祭り」の中でも最も長い時間舞われ、複雑な所作が含まれるため、強い体力と洗練された技術が必要とのこと。「花の舞」「三ツ舞」と舞い終えてきた熟練の若者がつとめる集大成ともいえるような舞でしょうか。

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しかし自分はまだ半分夢の中。すっかり電池が切れてしまって動く力がありませんでした。花宿に到着してからパンをふたつ食べただけで、その後ご飯を食べにいくタイミングも掴めず、食べたのは顔に塗られた味噌だけ(笑)
座った横に20年以上花祭りに通われている方がおられ、寝ながら、花祭りみながら、お話ししながら…というなんだかわからない状態を楽しんでいると、地元の方がトントンと肩を叩いて「ご飯食べておいで」と。売店でご飯をふるまってくださるとのこと。
正直、食欲よりも眠気の状態だったのですが、やはり食べねば…と隣に座った方といっしょに売店へ朝ごはんへ。「ごはん」「みそ汁」「漬物」という朝ごはんの代表選手のようなメニュー。温かい!!!おいしい!!体に染み入る!!舞庭ではまだ「四ツ舞」が行われており、聞こえてくる笛と太鼓の音に、がんばっているのに申し訳ないな~と思いつつも、止まらない手。ほんとにおいしかった!!!そして食べたことで元気がかなり回復しました!食ってすごい!人の温情ってありがたい。

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胃袋を満たし、新しい日の光に明るくなってきた舞庭に戻ると、まだ「四ツ舞・扇の手」が続いておりました。本当に長い舞に頭が下がります。
舞い終わったのは7時半。1時間以上舞っておられたことになります。

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つづいて次第は「四ツ舞・やちの手」へ。

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熟練の舞手の皆さんが舞われます。

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この時間になると一眠りしたのでしょうか、子どもたちもまた舞庭に戻ってきました。

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時間がおしていたため、途中やちから剣に持ち替えて「四ツ舞・剣の手」。花祭り好きオーラ漂う少年も帰ってきました。

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8時半ごろ終了。上黒川花祭りもいよいよ終盤。終わりを迎えようとしています。

(その7)へつづく。

Commented by すぺいん人 at 2017-01-17 20:30 x
榊鬼もむちゃくちゃカッコ良い!!!
しかもちょっと怖い顔してますね!!!
お写真がまた素敵で、静止画なのに舞っている時の迫力が想像できます☆

味噌、あれ美味しいですよね(笑)。
みんなが味噌塗られてる後ろでコタツでぬくぬくしてる知り合いとか(笑)、お写真の中に下黒川と上黒川を連戦された知り合いをちょいちょい見つけてしまいます(笑)。

私も初参戦だった去年は、午後5時から翌朝8時すぎまでぶっ通しでしたが、
やはりどの舞もずっと見ていたくてなかなか休憩のタイミングがはかれませんよね(^^;)

朝ごはんは本当にありがたいですね!
地元の方の優しさにも癒されますね☆



Commented by senbei551 at 2017-01-17 23:42
味噌、ほんまにおしいくて笑っちゃいました(^v^)一晩通して食べたのが味噌だけというね(笑)
思い切って舞庭を抜けて休憩することも必要だと実感した初年でした。ついつい観ていたくなるので、難しいですが!!

朝ごはん本当にありがたかったし美味しかったです。昨年のすぺいん人さんと同じように僕も空腹そうな顔をしていたのでしょうか(笑)
Commented by rinapi at 2017-01-19 16:29 x
宝の舞、山見鬼と榊鬼の伴鬼をやっていたものです!
味噌をたっぷり塗られているのもわたしです。(笑)
素敵な文章、素敵な写真をありがとうございます!
今年初めての花祭りでしたが、楽しく舞え、そして貴重な経験ができて、心の底からうれしかったので、「祭りに欠かせない存在」とまで言ってもらえて、ますますうれしい思いです。ありがとうございます。
Commented by senbei551 at 2017-01-19 21:33
あ!味噌パックの方(笑) 足をお運びいただきありがとうございます。いやほんと!一番楽しんでたんじゃないか!というくらい輝いてましたよ(^o^) rinapiさんがいてくださったおかげで、自分にとっても初めての花祭りの魅力が分厚いものになりました!ありがとうございます!来年もまた舞ってはるのかな!自分もまた上黒川に行けたらいいなと思っております。その時はまたお会いできたらうれしいです。今回は花祭りをより楽しいものにしてくださって、ありがとうございます。
by senbei551 | 2017-01-04 08:25 | ◇奥三河花祭り | Comments(4)

時々写真を撮りにいきます。主に祭りと子ども。自分も供奴として住吉大社で祭りにご奉仕させていただいております。


by senbei551